ポエム
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勲章には成り得ない傷痕


心の傷口が膿んで疼く度に思い出した
痛みそのものをも固めてしまおう
瘡蓋となり剥がれ落ちるのを願って

掻き毟ってはならない
生乾きの真っ赤な肉が
血と痛みを伴って顔を出す
忘れてはならないと苛むから

愛しかった筈のものは消え去った
別のものが気味の悪い顔で私を嘲笑う

もう消え去った筈の何かが
傷口を剥がして出ようとするのだ


包もうとして大きく拡げた両手が
無情にも空を切った時

大きな傷が口を開けたんだ
嗤う顔が刃物よりもずっと鋭く
限りなく冷たく私を切り裂いた

だが本当に傷が深くなったのは
その傷が大して意味無く負わされたと
後から判った

抉り取られたモノを無造作に棄て
笑い声が遠ざかる時に。


 
19/05/12 18:44更新 / K

■作者メッセージ
あの時に何かが壊れた。
絶対的であった確信の様な。大切な何かが。

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