ポエム
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赤いうた


引っ掻き回したあとに溢れる赤が手に触れるとどうしても安心してしまうのはぼくらが生きているからなのかな。怖いと喜びは紙一重でできたこの世界に、何をするわけでもなく漂っていたかった。将来とか、結婚とか、こどもとか、愛するとか、殴るとか、眠るとか、遊ぶとか、なんだか振り返ってみたらよくわからないな。どうして、ぼくらそんなことしてたんだろう。身体を巡る赤だけは、答えを知っていたのかもしれないな。
瞼の裏がキラキラと輝いている。あれは火花だ、ぱちぱちと生きている線香花火。綺麗だねと笑う横顔が綺麗だと、言ってしまえば陳腐な響きになるから黙ってる。目を開く。横顔はない。暗闇しかない。火花は、一瞬のきらめきだ。目を開くなんて野暮ったいことをしてたらそりゃ消えるに決まっているよ。目を閉じても、歩く赤しかもう見えない。

19/09/28 00:49更新 / 柚子色

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