ポエム
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川棚の海
   

輝く海にそそぎ込む小さな岬

緑したたる山の鼻の木々に埋もれ

木漏れ陽の向こうにお前はいた

私の感嘆の声を恥ずかしそうに聞きながら

もう半世紀以上そこにいて

お前は誰を待っていると言うのだ



その時誰もが生きる事を望み

あなた達はそれが正義だと信じ

愛する者を守るためだと信じ

命を的に銃弾の中に立った

そんな若者達の言葉にならない言葉を

忘れないために伝えるために

お前は風雨に耐え頑張っているのか



平和の海は皐月の陽に輝き

穏やかな波は底の石に綺麗な豹紋を写す

潮騒も聞こえぬ静かな海辺に

お前はじっとたたずんでいた



  
19/05/13 09:30更新 / 司門君

■作者メッセージ
  (長崎紀行より 川棚海軍工廠跡を訪ねて。)

 海軍工廠の一つ、片島海軍魚雷発射試験場跡を訪れて、その海の美しさに不似合いな朽ち果てた負の遺跡、彼は何を語りかけているのか。

 戦争の傷跡が癒えて、社会が高度成長に向かい始めたころに生まれた私は、戦争について語る何も持たないけれど。

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