ポエム
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春の夢(エッセイ)
それは大学に入学したての春だった
僕は英語の授業で彼女に出会った
自己紹介をし合うというセッションで彼女との番がまわってくると、僕はまたたく間に彼女に惹かれていった
栗色に染められたセミロングの上品なストレート
三日月のような勝ち気に輝く瞳
ときおりコケティッシュに傾けられる細い顎
大人しい日陰者だった僕とはなにもかもが違っていた
彼女はやがてくる新緑のようにまぶしかった
でも不思議と彼女に近づきたいとは思わなかった
たぶん世の中には見ることのできるだけで幸せという人が存在する
夏の夜空に輝く星々のような


10年後、僕は大都会の小さな書店で彼女に会った
1、2秒ほど目も合ったと思う
彼女は美しかった
でもその美しさはあの日とは違っていた
ロングになり、よりスリムになっていた彼女の美しさは
冬の夜に高級なケーキ店に立ち寄るのが似合うような美しさだった
彼女は冬の人になっていた
19/05/09 17:19更新 / 坂上春成

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