ポエム
[TOP]
ニューヨーク天神駅75「電車で向かう」
一学期の終業式が終わったあとのホームルームってみんな浮かれちゃってるよね。先生までにっこりしてるしさ。

ところで僕は恋愛小説はあまり読まない。ミステリもね。だとしても心に決めた女の子がいるっていうのは良いことだね。

だけど君に、僕がエズミといるときに僕の心はどうのこうの!みたいな話は一切しないから安心してほしい。他人の恋愛話なんて聞かされたくないもんね

エズミは14才で、町でぶっちぎりの美人というわけではない。だけど美人には違いないよ。少し彼女について話させてほしい。少しだけ。エズミはいやな意味での女の子っぽさがないんだ。いわゆる「恋愛脳」の持ち主でもない。たとえば僕が彼女の髪型の変化に気付かなくても腹を立てたりしないんだ。だけど彼女はちゃんと髪の手入れをしてるんだよ。そうなると僕は彼女を褒めないわけにはいかないよね?

仮に「この髪型どう?」なんて聞かれたらぼくはまったく褒める気を失うだろうけど、エズミみたいな、面倒くささがない人間のことを僕はすぐに気に入って、ことあるごとに褒め称えたくなるんだ。エズミ!君の髪型は君に似合っていてとっても可愛いよ!

彼女は数学が好きでね、素敵だろ?ほら、女の子ってなにかというと英語が好きでさ、将来の夢を聞かれると決まって「ガイシケイ」とかに行きたがるから。それはそれで素晴らしい事だとしてもね

まあそんなわけでエズミはよくいる‘女の子’と違うわけだ

僕は高1でエズミは中3だ。

ところで君は7月って好きかな?もし嫌いならごめんね。今から話すことは7月の話なんだ。でも大丈夫、むし暑さとか過剰な日光について話すつもりはないから。


終業式の帰りにエズミと会う約束をしていた。
エズミの学校(僕の母校でもある)の最寄駅で待ち合わせをしていて、僕は学校を出て駅のホームで電車を待っていた。そしたら後ろからグースさんっていう先輩に声をかけられた。彼は僕の一つ年上で中学が一緒だった。たぶん学年で2番か3番目に頭がよくて、男子校に進学した。もちろん進学校だよ。君が学歴とかそういうのに詳しいなら彼の学校の名前を聞いたことがあると思う。たまに高校生対抗のクイズ番組にも出てる学校だよ。それで僕らは同じ電車に乗った。想定内ではあったけど彼の話はどこか自慢がかってた。
「で、そのカリキュラムを導入するのはうちが初めてでね」
グースさんはたぶん僕のことを気に入ってくれてると思う。僕も中学のころ多少はいい成績をとっていて、彼もなんとなくそのことは知っていたから。だから彼は僕を同類だとみなしてた。
彼が自分の通う高校の自慢ばかりしてるから僕は心の中でさっきエズミにもらったメッセージのことを考えていた。彼女にしてはテンションが高めの文面だったんだ。でもなにかすごい出来事が起こったとかではないんだろう。難しめの数学の問題の解法を思いついたとかそんなことだろうね。僕は「よかったね、ポアンカレ様」みたいなことを返信した。軽いおふざけで。

僕が降りる1つ前の駅で乗ってきた子どもがピーキュアのかばんを背負っていた。それってエズミが好きなアニメなんだ。彼女はアニメをみることもあって、そのことを子どもっぽいといじっても笑うだけでエズミはちっとも怒ったりしない。だけど僕はむやみにその事をいじったりとか、そんな野暮なことはしない。それでまあ、その子が母親にピ−キュアの話をしてるのを見ていた。ピーキュアのパワーアップの秘密とか、変身のセリフとかそんな話だよ。その光景をみてるとなんだかグースさんの話にも面白みがないわけではないと思えてきたんだ。そのとき彼が話してた、彼の高校から推薦で進学した生徒が大学でいい成績をおさめてるおかげで高校に対する信頼が増して推薦枠が増えたとかって話が。

それで、気分が良くなっていた僕は、僕が降りるときに彼が言った「おいおい、まだ乗っていて俺を送ってくれるんだろ?」なんていうジョークにも、彼が期待してた分よりも少し多めに笑っておいた。
18/11/11 18:44更新 / オオサカダニケ

TOP | 感想 | RSS

まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.35c
学研のオンライン英会話 マンツーマンレッスン「Kimini BB」