ポエム
[TOP]
キーパーチャージ
ケー君が初めてサッカーの試合に出た
練習試合だから年少の彼にもチャンスが来た
彼はこの時とばかりに張り切っていた

ケー君のポジションは左ウイングバック
でも試合が始まるとポジションなどお構いなし
ボールを追いかけてグランド中を駆け回る
相手の選手はいきなり現れたチビ助に
「こいつどこから現れたんだ」と戸惑い顔
まるでグランドに紛れ込んだ仔犬の様に
ボールに絡みついて回る
見ている父兄たちは大笑い
ついにはキーパーに体当たり
「ピーピー」ホイッスルが鳴り試合が止まる
審判がケー君を手招きしている
怒られると思ったのか
彼はおろおろとグランドを逃げ回る
でもそちらには監督が腕組みして立っている
仕方なく彼は主審の前に行った
うなだれる彼に審判は優しい声で
「はい、キーパーチャージね」
そう言って黄色いカードを示した
ケー君はほっとした顔で監督を見るとやはり腕組みしたまま

試合も終わり全員監督の前に整列
監督から選手一人一人に様々な注意があった
ケー君の順番が来た
彼は反則を叱られると思いうつむいていると
「由井、ナイスファイト」と一声

監督の話も終わり解散
選手たちはそれぞれの親の元へと別れる
私を見つけたケー君は
「じじー」と大声で呼びながらグランドをかけてきた
そしてさも得意そうな顔で言った
「じじ、おれキーパーチャージしたんだよ」

 
20/01/08 13:31更新 / 司門君


■作者メッセージ
 今はキーパーチャージと言う呼び方はしないそうですね。

TOP | 感想 | RSS


まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.35c