ポエム
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行動
「do !」という展覧会があり、

ユキ子も初めて宇宙をテーマとした作品をギャラリーに出した。

それは多く観て貰え、

「成功(あなたが)したから良かったよ。」

友人は言った。

作品を作っている時のユキ子の精神は、若く、神経質で、怒ったもので、猛り、半壊すらしていた。 
ユキ子にとっては、何を作るかは目的ではなかった、何故なら描くこと自体が感じることが最終の目的なのであった。
それは時計の様な形をした絵画になり、寂しい気のする所、本来のユキ子の居場所、彼女の思う所で筆をやめ、遂に完成したのだった。
それでも絵に完成はないというから、ユキ子の道は尚続くのだろう。
ユキ子は病弱で、美術しか学ばなかった。
自身の研究が人々にそれ程影響を与えないと分かる学者の出で立ちを憧れた。
だから来る人の反応に対してユキ子も冷静を装った。
昨日にようやく精神も安定しかけ

いつもと何か違う日だぁー!と呑気に会場に佇んで思っていた

友人もアーティストであり、男だから精神なんて細く、ある作品を観ていつものように発狂し出して

その横暴さときたら、

スピリチュアルメイトは普段から喧嘩が多いらしいが、ユキ子たちは余りに悲しい。そして狐につままれていた。

ただ友人はいつもユキ子を想った。まるで彼女が手を突っ込んだポケットに自分の忘れ物が入ってるように思った。

部屋を散らかして出てきた彼女も友人のこと考えていた。

そのようにやたらと不安がる友人を、その友人を私が作り出したのではないか。ユキ子は患い思った。

グラビテーション、心を晒し、甘え、「出会えて、嬉しくてたまらない!」その綺麗な気持ちを、互いは守れない。「到達」していない自己と到達された世界の狭間に理想が立つ。

事なかれ主義で、ある時でも悠長な友人の、挙げ句「おっ片付けー♪(発狂)」に、

ユキ子だって製作中には精一杯真面目に神経質にして、焦っていた、どうしてわかってもらえないの?と。ユキ子にも他に友がいて、 
どうしてわかってもらいたいのがその友人なのか自分でもわからないまま、泣いた。 
あんな事もうしないから、友人にはひたすら前を向いてほしかった。

一本道だった。その丘の木に、いつも友人がいた。

だから、ユキ子も奇声を上げて、フラストレーションを発した。泣いている間に他の美しい作品が視界を横切る。
清い作品を描いたのだから、清さとは、ハイヤーセルフとユキ子が負を「背負って居る」「捧げる」ポジティブな勇気の前提なんだ。ユキ子は、何か違うと思う事を鋭い目で離さなかった。

何を嫌だと思っても躊躇わないで骨から直した作品だった。

ユキ子自身も作品に対して尊敬があった。

アーティストであって、本当に「普通」の人である、「大人」である、そうなろうとしている、そして不条理である、これが人間の高点として、その上で芸術として。魂、わきざしを輝かせよう、という野心で

顔ぐしゃぐしゃのままたらたら友人の後片付けをして何が歓び(Art)なのだろうかと彼女は哀しく萎んだ、涙を拭いてから思った、「いくら本質的にアーティストであっても、自分の心(身体、氣)へけじめがないと、自分も人も精神ぼろにする。芸術と言って、芸者じゃないのだ、だから私は道を逸れないように南無妙法蓮華経と祈る。私がアーティストなのはその時だ。誰も彼も、彼も誰もが調和や美を好むわけじゃない。若しくはそれに気付かない。美しさの概念が違うのかわからないが、ただ美は訴え、美しさは私のリーダーとして心を支えるものだ。それは友人も同じだ。美しさには順序があるのではないか。醜くとも、作品は作品だ、その時の一発の弾丸だ。そしてアーティスト自身、その一発の傷口に養われる。私は幸せだ。」


お米の一粒、

そういう真に「もったいないこと」。

お米の一粒が、
世界の飢餓に対するのではなく、単に有り難いと思う自分が在るだけで、それを宙といって、目に見えるものではない。

その心が金を呼んで、結局極端な貧困を助けるではないか。

優しさだけではいけない。造形を学ぶにはまず自然体でないとならないからだ。

その友人が発狂して、この、ユキ子の前に「いない」事態が

彼女にとって友人がたとえ雨でも、自らの宇宙に対してもったいない事であるのだ。

元はといえば人の情けで立ったそのdo !展。対する友人の行為はそれらを知らず知らず下敷きにしてユキ子を潰した。

彼女は何が悔しいかというと、

誰かに自分を知って欲しい奇妙な気持ちは自然なものだから、私は造る。というユキ子の言葉の破れが、悔しいのである。

たから、ユキ子も友人も一人ぼっちが道理であり、そこを行かなければならなかった。

行動(do)とは出来うる限り描いたそれそのものを自らから始めて、己の眼前に出さなければならない。do!展は、人と人との“会話”でしかあり得なかったのだ。その為に自分も相手も人でなければならない。これが実存であるはずだから、その友人のロック精神なんか発狂時点で在る筈なく、人であるユキ子は芸術の高尚さの前に友人から冷たく目をそらした。

「友人、恋人、走ってほしい

あなたに過去は無ければ今も無い筈だ。

そこまでわからないって、情けないよ。

もう、優しく助かるしかないの。

あなたは“失った”わよ。」

19/12/28 12:31更新 / 淤白


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