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わからん
ゴワついたビル群も、森閑とした冬も、きっと彼女には似合わない。物憂げな表情で、かわいらしいスカートで、彼女はただそこに存在していた。吸った大気がおなかの中で攪拌され倦怠となって吐き出されるように、循環する風景の中でただ白い壁にもたれかかって汚い息を吐いている。
「話をしよう?海の話。深海魚はその凄まじい水圧に耐えられるように体が作られているんだ。だから陸地に引き上げられると目玉が飛び出ちまうんだ。つまりさ、急に環境が変化したことに耐えられなかったんだね。君もここから出ていくことがあればくれぐれも気をつけてくれよ。君の目玉は二つっきゃないんだろう?」
彼女は答えない。こちらの話を聞く素振りも見せなければ相槌ひとつない。僕は無言のうちに彼女を抱きしめた。冷たい温度が腕から首に到達し、溶け合った。
「ひとつになりたい?」
「ひとつになりたい。」
20/01/06 13:04更新 / つたない


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