ポエム
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今年最後の授業
終業のあいさつが終わると
皆一斉に 席を立って出ていく
まるで 次発列車のホームへ駆けていくように
次々と ドアの向こうへ吐き出されていく

名まえも知らないひとに 声をかけられる
ねぇ、ねぇ、〇〇のところ 難しくなかった?
そうよね、わたしもそう思った
などと屈託なく答え 笑いあって外に出る

でもわたしは 教室に残るあなたが気になる
あなたは今 何を見つめ 何を思うのか
わたしの後ろ姿を目で追うことはあるのか
わたしの話し声は その耳に届いているのか

今日のあなたは 少しブルーだった
その声は
明るく振る舞ったかと思うと
ぼんやりと儚げで
こころをどこかに置いてきたようだった

その原因は何?
わたし?
そんなことはあり得ない
なぜって わたしたちは 会話らしい会話をしたことがない

でも
でもね
ときどき 感じる

あなたが
あなたの声が
わたしに向かって語りかけてくるのを
他の人との話のなかに
わたしへのメッセージを滑り込ませてくるのを

気のせいかもしれない
思い上がりかもしれない
それでもいい
もしも あなたがわたしのことを
ただの1ミリも想ってくれなくてもかまわない

わたしは
わたしの胸は
あなたのことでいっぱいです
来る日も来る日も
あなたへの想いが溢れてくる

たとえ 一言も言葉を交わさずとも
ただ あなたという存在が
わたしを輝かせ
満ち足りた気持ちにさせてくれるのです

19/12/28 23:20更新 / 姫沙羅


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