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自壊のうた


わたしの傍にはもう一人のわたしがいます。泣いているわたしを、ごく冷たく見やるわたし。怒っているわたしを、冷静に諭すわたし。笑っているわたしを、終わりが来ると囁くわたし。全部、わたし。切り裂かれた真ん中の、大事な左心房。腹が減ったら唾液が垂れるみたいに、別れるときに沢山血を流しました。だから大切は半身、片割れ、わたし自身なのです。片腕しかなくなったわたしはわたしを抱き締めて、片腕のみのわたしが抱き締め返します、怪物の、自傷、或いは自慰。爪を噛んでしまえば自分の味が知れるみたいだ。ちょっとしょっぱくて、鉄の臭いがする、タイムカプセルの鍵を飲み込んだときに知った臭いだ。なあ、一人のわたし。聞こえていますか?わたしとわたしになってから全てが幸せです、でも、先が見えるようになってつまらなくなってしまった。歌詞のうたを嘲るわたしはいつも二人いる。
なあ、聞こえていますか?

19/05/09 11:35更新 / 柚子色

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