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年かさね
肉より野菜
腹七分
酒のつまみは
猫とシェアして


解釈:1

大人と呼ばれる年齢を随分と過ぎた
肉食系に憧れ躍起したのも若さ故か
最近では草食系を演じるのが愉しい
本音を出すのは半分と少しと決めた
ひいき作家の新刊をあてに一杯やる
気づけば飼い猫と共に枕にして朝だ


解釈:2

私の一年が一冊の書物とするならば
もうどれほど積み上がったのだろう
昔はほとんど肉しか食べなかったが
今は田舎で家庭菜園などやっている
執筆に響かぬよう食べ過ぎは控えて
晩酌の肴は庭へ来た珍客にお裾分け




(先ほど干物をやった客であろうか。

ふと私の書斎に自分以外の小さな気配を感じる。彼はポンと跳躍し書棚の一冊を前足で叩き落とした。

少しだけ埃が舞う。

彼は自分の上半身を書の上に横たえ目を細めて静かになった。

背表紙に目をやる。私の処女作だ。

私が駆け出しの頃に担当してくれた編集者の言葉を思い出す。

「俺は生まれ変わったら猫って決めてるんだ。そんで、お前がちゃんと書いてるか監視にくるからな」

猫好きで私の作品の一番の愛読者であった、そして私の恩師でもあった。

この書は私が恩師へ渡したものだったが、数年前に遺品として私の元へ出戻ってからは書棚で永く眠っていた。

それが今まさに、珍客から叩き起こされた訳だ。

書の隙間から栞のようにはみ出した紙片が見える。

それを引っ張り出してみる。

そこには、こう走り書きが…)



年かさね
肉より野菜
腹七分
酒のつまみは
猫とシェアして


18/06/25 14:21更新 / nob

■作者メッセージ
伊坂幸太郎の小説に、最初の一文と最後の一文が同じというものがあるのですが、あの感覚が好きなんですよね。

それをやりたかった訳ではないですが。

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