ポエム
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みえない想像のうた

早々に目が悪くなってしまったから、鮮やかな青も、揺れる緑も、人の桃色も、先も。なにも見えなかった。
もし死ぬときになったなら、この目は治りますか。治ったら、楽園のような走馬灯をしっかりと見ることができるのでしょうか。わたしは、怖いのです。自分を見えなくなることが。どうにも怖くて、がちがちと身体は震えて、奥歯を必死に噛み砕いても、それでも揺れ動くのです。こころも、からだも。まるで自分のものではないみたいで、そうなっていくのが怖くて、だから目が悪くなるのはいけないことでした。どうして、現代に溶け込もうとしたんだろう。
病室から見上げる空は真っ青でした。空虚とも言います。全部捏造です、空も病室も。植物園に行って、誰も知らない深緑の隠れ家。全部捏造です。芽も隠れ家も。雷門を通り抜けて、桃色の詰まった桃源郷へ。全部捏造です。人も雷門も。見えないから捏造して、わたしの世界をつくって、わたしの世界をあげるしかないのです。あなたの顔も、ろくには見えないのに。
19/05/07 08:55更新 / 柚子色

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