ポエム
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壁の薄いワンルームでは、はなでうたうこともできない。
わたしに、死ねと言っていいのはわたしだけで、わたしを殺していいのもわたしだけで、無責任に、生きろと言っていいのも、もちろんわたしだけだ。ギターを弾けないことに、苛立ってもしかたがない。だんだんと鈍っていく、指の動きにひどく消沈した。
ぴんくいろの空が、大きく手招きしている。サイズのあっていない靴を履いているみたいに、せまい空間で、少しずつズレていく。好きだけど、消えてほしいと思う。消えてしまえば寂しくて、きっと泣くのだろうけれど、居なくなってしまえば、ぼくの心臓は自由になって、今よりもっとやさしくなれる。さみしい都会の真ん中で、住めば都だなんてのはざれごとだ。そんなのは、きっと死にたいとも生きたいとも、思ったことのない人間のことば。しあわせね、素敵よ。無理して借りたあの部屋にも、そういえばしばらく帰っていない。
星のライトがてのひらにまとわりついていて、きれいになった錯覚に耽る。無数の五線譜は、けして、わたしの思い通りにはならないまま、その溝の分だけ、きみの心にわたしが刻まれてゆく。きみを汚したのが、なにか恐ろしいものやきみ自身でもなく、ぼくの最低な愛情だってこと、素直に嬉しかったです。サウンドホールより、××をこめて。
19/02/25 16:18更新 / 暮月

■作者メッセージ
徐々に普通に戻っていく、もうカラフルな光を背中に浴びることもなくなってしまった、さみしいと思わないのはぼくがもうふつうになってしまったから

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