ポエム
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まだ頭の中ではあの人のことが忘れられなかった
結局最後まで迷惑をかけて泣いてありがとうを言うだけで精一杯だった
その時は諦められるなんて考えてなかった
むしろ時が経ってからまた何てさえ思ったりした
ずっとあの人の
声が
優しさが
体温が
忘れられなかった
その時ふと気づいた
なぜ私はあの人が忘れられないんだろう
あの人に縛られているのだろう
思い出してみた
辛いけど心が締め付けられるけどそれでも思い出さなきゃって
鋭く尖った欠片を素手で掴んで一生懸命探した
血が出て痛くて
それでも探さなきゃって

結局あらゆるところを探してみても詳しい事なんて分からなかった
唯一分かったのはあの人と一緒にいた時間は温かかったことだけ
それしか分からなかった

それしか

それ…しか









それが私が縛られていた理由だった

あの人といるとき
今まで感じたことがない優しさに包まれた
温かかった
その温もりが忘れられなかった
初めて感じた体温が
離れなかった

それだけかもしれない
けれど私を縛り付けるには十分すぎた
そのままズルズルと私はあの人の優しさの底に溺れていった
それが自分を苦しめようとも離れることができなかった
その優しさは私の苦しみも全て包んでくれた
あぁこれが愛なんだって思った
けれど私が求めていた愛は違った
その優しさも温もりもあの人は恋心だった
けれど私が心底求めていたのは恋心というレッテルを貼られた家族から与えられなかった愛情だった
言われたんだ
このことを話したら
『あなたが求めている愛情はもう友達や恋人でさえも埋めることはできないの』

頬が濡れる
最後の欠片が雫となり足元の欠片が共鳴する

そうか
そりゃあ苦しいよな
そりゃあ満たされないわけだ
どれだけ抱きついてもどれだけ近くにいても
何かが足りない感覚があった

その瞬間縛られていた何かが千切れ欠片が集まる

私はようやく向き合えた
私はようやく思い出を手にすることができた

もう後ろを見ない
前を見てる

あの人もどうやら運命の人に出会えたらしい
今度こそ心の底から
おめでとう
と言える

掌の中で思い出は煌々と輝いている
私の心を照らしている
息を吹きかける
途端に粒子となり気流に乗って
見えなくなった
17/11/10 18:56更新 / めめ氏

■作者メッセージ
子供だった頃の私に付き合ってくれて本当にありがとう
※欠片の完結編です

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