ポエム
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Phantom limb


私は死骸を相手に恋焦がれ
虚ろな愛を抱いていたのだ

ある時 突如理解した

見詰めていた女は
狼が皮を被った紛い物で

か弱い筈の守るべき本物の赤頭巾は
既に死んでいたのだと


初めから居ないものに
話した振りをして
宛先の無い手紙を認めた

居ない者を居ると言い張った日々だった

初めから誰も居なかった部屋に通い
返事の無い隣の女へ一方的に話し掛け
私しか写っていない記念写真を眺めて
一緒に行ったつもりの店の前で懐かしむ

裏切りすら存在しない

ただ 握り締めていた筈の感触だけが
その初めから無かった存在を存在せしめ
永く 永く消せずにいた

苦しめられた
愛した¨ソレ¨が其所に在った様な手の感触に

これは なんだったのか

世界を敵に回しても構わない
死にもの狂いで守ってみせる

そう 一人相撲をして
言葉の返らない
既に其所に居ないものに話し掛けていた


途中の道すがら それを拾い上げた
いつかの 誰かに贈ったつもりのモノに
そっくりの 壊れかけたカンテラを

少し悲しく
悲しさの理由は もう解らなかった

それでも

解らないままの私の行く手を
割れたカンテラが照らしてくれる

未だ 歩ける筈だ
迫る日没と歩くべき方角だけは
知っているから。


 
18/12/25 11:29更新 / K

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