ポエム
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小鳥たち
七月も小暑を過ぎた頃
私はある葬式に赴いた

都会の喧騒をしばし逃れ
迷路めいた小路を抜け
辿り着いたその先
そこは、迷宮?

閑雅な室に佇むは
漆黒の衣服を纏った老大公紀
棺桶に横たわり、黙して語らない彼女に
天の光と見紛うばかりの眩い日の光が射し
未だ生きていると錯覚する頬の温かさを与える

彼女の側に寄り添うは
彼女が生み出した小鳥たち
老大公紀の側にいる一羽は、いつかの川遊びの折
彼女に寄り縋り、生ける髪飾りと化した一羽だろうか
侍女たる彼女らは主無き今、今後の去就を測りかねている

執り行われる、厳かな、静かな葬式
まるでこの時間、この空間が丸ごと
凍り付いてしまったかのような静寂

だがいつか、老大公紀は荼毘に付され
小鳥たちは散り散りになり
全て無に帰すのだろう

だが、今だけは
この静寂を永遠に留めたい
やがて時が過ぎ去っても、この空間に
彼女らの残像を、幻覚の如く固着させられるよう

これは、名も無き詩人が吟じた
何の教訓を含まない、とある葬式の記憶
19/08/23 00:59更新 / 精玲音

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