ポエム
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龍涎香
海岸に打ち上げられた龍涎香
ある朝海岸を歩いていた
若者の手に収まる

これは死の結晶
鯨に呑み込まれた
幾多の有機物の、死の証

鼻を近付けると、
仄かに香ばしい香り
これが死の匂いならば
何て蠱惑的な匂いだろう!
鯨の作りだす芸術に慄然とする

若者は、私たちの死を想う
死ぬ時に、こんな物を残せたら
どんなに気持ちよく逝けるだろう
鯨の作りだす芸術に譲らぬ一品を!

海の彼方、陽炎の向こうに
高い水しぶきが一つ、上がった
笑いさざめく、鯨の勝鬨かもしれぬ
19/08/07 01:14更新 / 精玲音

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