ポエム
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TVの嘘
最初は使命感が勝っていた
世間に公表する義務として
しかしTVの裏側を知って
次からは警戒心が芽生えた

大手の制作プロダクション
打ち合わせ室に現れたのは
帽子も取らずに腕組をする
ひげ面の中年ディレクター

礼儀のない横柄さに戸惑う
UFOの映像には興味なし
街のネオンを撮ったのかと
山岳地帯の夜の映像を疑う

不思議な女性の後姿の写真
副ディレクターが食いつく
異星人だと紹介をするなら
君を番組のゲストにしたい

心を見透かす様な目つきに
不快感を覚えて即答で断る
UFOの関連性を省くなら
私はただの変人と思われる

出演はないものと思ったが
スタジオに来てくれと依頼
直前に映像クリップが届く
真偽の判定をしてほしいと

全てフェイクだと回答した
丁寧に証拠の映像も添えた
本番のスタジオに到着した
ひな壇の隅に座らせられる

本番が始まり例の映像登場
驚いたことに本物だと紹介
思わず抗議の手を挙げると
状況を察して進行役は無視

専門家と称するゲストの男
フェイク映像にウソの解説
休憩時に彼に事実を教える
とぼけた返答で逃げられる

これがTVの超常現象番組
嘘の情報を嘘つきが解説し
全国の視聴者を騙し続ける
エンターテイメントとして

小さな制作会社は可哀想だ
嘘と知りながら番組を制作
フェイクだよねと尋ねると
仰る通りですと素直に回答

途方もない虚脱感に包まれ
大都会の夜景を一人見上げ
オカルトメディアと決別し
暗い道を一人で歩み始める


19/07/07 09:57更新 / エメラルド

■作者メッセージ
オカルトというのは秘教という意味で、本来は由緒ある学問ですが、日本では、いかがわしいインチキを表すような誤用がされています

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