ポエム
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蠱毒な愛
「これってさあ、なんか蠱毒みたいだよね」
 大きな目を細めて、君は笑って僕を見た。

 僕らの前にあるガラステーブルの上には、空っぽの白い箱が置いてある。

 僕らはそこにお互いの好きなところと嫌いなところ、それ以外にも思っていることを次から次へと入れていく。

「毎日好きって言ってくれるところが好き」
「寝相の悪さどうにかしてくれ」
「ゴミの分別ちゃんとして」
「この間の麻婆豆腐、やけに本格的で美味しかったなあ。また作ってよ」

 もちろん、形なんてない。
言った側から空に消えてなくなる前に、パッと手で掴み箱に入れていく。
そんな感じ。
そうあくまでも感じだ。
だから見た目に箱がいっぱいになるわけもなく、いくらでも入れられる。

「よし。そろそろいいかな」
「うん」

 僕は想いの埋まった箱にフタをして、漏れないように回りをガムテープで封をしていく。

「できた。じゃあ一ヶ月後に開けるから、それまでは触らないように」
「はい、はい。分かってるわよ」

 一ヶ月後は僕らが一緒に暮らしてちょうど三年目。
このオママゴトのような儀式も三回目だ。

 箱に埋まった僕らの想いは、この一ヶ月で一つになる。
清濁関係なく、お互いの想いが混じり合い一つになる。
そしてそれを二人で掬い上げ飲み込む。

 どんな想いだって
二人で共有して混ぜて飲み込んで消化してしまえばいい。

 それが僕らの尊い儀式。

 二人だけの秘密の。
19/11/09 00:21更新 / 九丸(ひさまる)

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