ポエム
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食む

 ざらり、舌に絡みつく甘さが気持ち悪い。
 さっきまで冷蔵庫に入っていた冷たさが指に伝わる。
 人工的に作られた色彩が彩度を激しく変化させる。
 それをただじっと見つめていた。

 口端が汚れるのも気にせず押しつけて飲み込む。
 甘ったるい粘度を口の中に広げる。
 温度で溶ける柔らかさを、かむことなく消していく。
 舌でじっと転がして唾液が混じった。

 温度の分からないそれを次につかむ。
 かさかさと個包装が音を立てて机に落ちる。
 くしゃり、何の気なしに手のひらでつかんで、放す。
 汗と温度で溶けた塩分がべたべたと指先を汚した。

 小さく割って、放り入れる。
 際立った塩味が舌を痺れさせる。
 歯で噛んで、口内で割る。
 骨を通じて響く音をどこか遠くに聞いていた。

 食べ飽きることがない。
 住人の消えた袋と紙箱は減らない。
 人の物はもらえない。

 それを、ただじっと、見つめていた。
20/02/10 23:17更新 / くらげ

談話室


■作者メッセージ
アイとお菓子とその他世界に、最大限の「嫌」を。

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