ポエム
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素描
彼は退院を明日に控えとてもうきうきしていた
久しぶりにあの仔達(五匹の猫)と会えるからだった
正直、彼は妻や娘たちよりその仔達に会いたかった

彼はこれまでにも何度か入院したことがあった
その度にあの仔達と会えないのが寂しかった
特に一番なついているクロエに会いたいと思った
この仔は彼が家にいるときは必ず彼の近くにいた
膝で眠ったり布団に潜り込んで来たりもよくしていた
そんな彼には退院の時いつも一つの不安があった
それはあの仔達がどんな態度で迎えてくれるかだった
彼を覚えているだろうか、迎えに出て来るだろうか
初めての人が来た時の様に二階に逃げたりしないだろうか
無視されはしないだろうか、そんな事だった

しかし今日の彼は少し違っていた
ただあの仔達に会えるのがうれしかった
声が聴けることが、息を感じることが
その命そのものに会える事が嬉しくてたまらなかった
彼はその夜まるで修学旅行の前夜の生徒の様に
とても興奮してなかなか寝付けなかった
そして誰よりも幸せな眠りについた

19/07/31 14:40更新 / 司門君

■作者メッセージ
 皆さんご無沙汰しています、白血病絵入院していました、今日は一時退院で帰ってきています、また来週から抗がん剤治療が始まります、次に会えるのは夏も終わった頃でしょう、暑さに負けず皆さんご健勝にお過ごしください。

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