ポエム
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自重
自重に耐えられなくなったとき
赤ん坊は泣き声を上げる
立ち上がる事が不可能に思えるし
目の前にいる親は事もなげなフリをしているし
小さいながらに理不尽な気持ちで散々泣く

自重に耐えられなくなったとき
少年はベッドに横たわる
枕元の漫画に手を伸ばす
机の上の宿題が不満を漏らすけれど
それを無視して無邪気な癖に世慣れた風に笑う

自重に耐えられなくなったとき
青年は椅子に凭れる
重い溜息で不満をやり過ごす
ディスプレイに映るExcel表をどう直すか悩みだす
右下の時計で昼まであと10分である事に安堵する

自重に耐えられなくなったとき
中年は首をかしげる
こんな人生で良かったのだろうか、と車のシートに身を埋める

自重に耐えられなくなったとき
老人は窓外を眺める
起き上がり機能で持ち上げられたベッドに張り付いたままで
誰かが来てくれると思っている訳では無いのだけれど
それでも窓外を眺める

自重に耐えられなくなったとき
人は常に自分と向き合っている
呼吸と心音が今ここに居る自分を思わせるように
自重は人と世界の関係性-アフォーダンス-でもって
自分が何であるかを教えてくれる

21g
何処かの誰かが言う魂の重さ

自重に耐えられなくなったとき
18/05/07 21:33更新 / とり

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