ポエム
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風と木霊
  
古い町の外れに有る
海の見える小さな駅
そこにはいつも風が吹いていた
わずかばかりの畑と道路
その向こうに白く光る海


一人の少女がホームにたたずむ
両手で膝の前に鞄を下げ
セーラー服の襟に三つ編が揺れる
輝く海に透ける様に


向かいのホームのベンチには
一人の少年が腰掛けていた
少年はその少女を見つめていた
少女もそれを知っていた


列車の音が近付き
快速電車がつむじ風を起こし
通過して行った後には
白い卯の花がうなずく様に揺れるだけ


少年は一つ大きく息をつくと
無人の改札口を抜けて
自転車に乗り一こぎした
少年を乗せた自転車はふわりと浮き
五つの家を一気に飛び越えて
古い町並みに溶けて行った


誰も居なくなった駅のホームに
雑木林を映しながら
ぼんやりとかすむ少女の姿が
風の中で揺らいで見えた
19/06/26 14:57更新 / 司門君

■作者メッセージ
 初恋のイメージです。

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