ポエム
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街・僕らの時代
僕らの時代 お金持の家がすぐわかったよ

あの家には自家用車がある あの家にはテレビがある 僕の家にはどちらもない .

でも、大丈夫。友達の家もほとんどそうだから。

僕らの時代 母さんはいつも割烹着姿だったよ .

母さんは魔法使いみたいに何でも出来た .

料理はもちろん ミシンを踏んで洋裁師 障子を張替え,おはぎも作れた.

母さんがいないと「母さんは何処」というけれど 「父さんは何処」とは言わないと、父さん笑ってた。

僕らの時代 夏の夕方は涼み台が出て  団扇なんぞをパタパタと 簡単着姿の女の人はご近所の噂話 .

ステテコ姿の男の人は政治談義か縁将棋 僕らガキ達は鞍馬天狗か月光仮面、 「おっちゃん、飛車取り王手やんか」 「うるさい!ガキは黙っとれ」と叱られた。

牛乳屋さんのガチャガチャ瓶の音聞けば 朝は時計がなくてもすぐわかり 夏は氷屋さんで 冬は炭屋さん ほんに便利に出来ていると感心したもので ,

酒屋のオヤジ、若い後家さんもらって 配達途中 都々逸詠ってご機嫌だ。

冬は火鉢でもち焼いて 炬燵で家族がみかん食べ ,

父さん新聞 母さん家計簿 妹着せ替え人形 ぼくは感心 明日の宿題やっていた。

街には映画館もいっぱいあって 夕方から雨でも降ればしめたもの 「店は早仕舞いにして映画じゃ」父さんの声.

僕ら家族は傘の一連隊。

物干しから見れば 3階建てなんてなく  どこまでも瓦の家並が広がって 路面電車が走ってた .

商店街の「えー、らっしゃい」の呼び声も 物売りの声も どこかで何かの音がいつもして 何だか街はとっても賑やかで

僕らの時代 都会というのに  こんな寂しい街ではなかったよ。
19/06/20 07:15更新 / 北風 嵐

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