ポエム
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夏の朝路に繭と灰
君が僕の手をつよく引く度
黄色い鈴の音が響く
朝陽彩る街を抜けてく
向日葵が静かに僕等を見送った

海の色はいつだって灰色だ
僕の眼にはそう映るんだ
晴天、曇天、雨天、関係無く灰色なんだ
一体誰がそんな色に染めてしまったんだろう
いつも帰りの電車に揺られながら考えていた
でも今
どろどろに溶けた灰の中で
青く澄んだ水が突如流れ出す
行くあてを探しながら
僕の体内で渦を巻き続ける

君の声が聞こえる
無人のアーケードによく響く
信号は点滅を繰り返し
今まさに青から赤へ
首筋流れる汗に
大通り出た瞬間吹き抜ける風
夏の匂いを感じた
どこか懐かしい郷愁めいた匂い
僕の記憶に棲みつき
今再び命を宿したような
そんな夏の匂いが僕を貫いた

朝靄が朝陽に溶けるよう
君の熱を孕んだ手や声や表情で
心に深く絡みついた過去の傷がほどけてく
この街はひとつの大きな繭に包まれている
閉ざされた暗がりの中
逃げ出せないと信じ込んでいた

君の笑い声が耳元で揺らぐ
僕の笑い声が朝の街に響いた
握られたと思っていた手は
今しっかりと握り返していた
信号が青
僕等が一歩を踏み出すたび
繭は溶け灰は洗い流されていく
どこまでも澄んだ朝路に思える
透明な空に思いを馳せる
黄色い鈴が凛と鳴る
僕が手を引くたび、凛と響いた

19/06/09 18:40更新 / ぼんくらなぼく

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