ポエム
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人工のげじげじ



〈1〉
かなたよりジグソーこぼれ現代の一兆ピースに生き埋めの君


〈2〉
図書館はとてもしずかで子供なりの小声がおしっこと言っている


〈3〉
行きたくはならない朝の道で見る小石の影の濃いこと濃いこと


〈4〉
光陰は矢の如く過ぎオレはいま二度寝を終えて三度寝に入る


〈5〉
二曲目で寝て五曲目で目が覚めてそのまま八曲目までは聴いた


〈6〉
宮城県公安委員会指定奥羽自動車学校も朝


〈7〉
踏み切りの不協和音のほのぼのと響いて冬の自動車学校


〈8〉
点滅の青信号に止まろうとするオレ、突っ走ろうとする君


〈9〉
これは良い門ですなあと見ていたら向こう側から開いてしまった


〈10〉
励ましのつもりで書いた便箋の二枚目の3分の2は愚痴


〈11〉
階段のとなりにエスカレーターがあって気楽ないきかた選ぶ


〈12〉
泉区の泉公園内にある泉ヶ池に今朝のしずまり


〈13〉
東京に行って頑張りたいなどと聞こえるベンチにまどろんでゆく


〈14〉
風が出て泉ヶ池にうすうすと恋の予感のようなゆらめき


〈15〉
行き先を知らず昇った石段の上でがっかりして降りてきた


〈16〉
やめてくれ付箋だらけの本なんて要するに人工のげじげじ


〈17〉
悲しげな声で鳴いてる犬がいた塀の向こうの昨日の夜に


〈18〉
妹に買ってもらった緑色かぶって暗い一年だった


〈19〉
百円玉らしき光へにじり寄るオレの歩幅の小さい水辺


〈20〉
わたくしをあげますあなたをくださいと読めるポーズでフィギュアが終わる



16/07/01 10:20更新 / 工藤吉生

■作者メッセージ
短歌20首

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