ポエム
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虹の花嫁
かたむいた陽がステンドグラスを床に散らし

光の帯がきらめき流れる

時を待つように立ち尽くしていた花嫁は

赤いじゅうたんの上をゆっくり歩き始めた

オルガンも拍手も

迎える花婿さえ居ない

たった一人のバージンロード

壊れそうな微笑を浮かべながら

祭壇の前に進み出た

そこにひざまずきしばらく祈り

やがて立ち上がると空を指す様に手を伸べ

石のない指輪を自分の指にはめた

ステンドグラスの蒼がほほを流れ

花嫁は胸の前で小さく十字をきると    

一番前の椅子に腰をおろし目を閉じた

時が静寂と闇を誘い

聖堂の中は小さな聖体の光一つになった



やがて花嫁はゆっくり立ち上がり

キリストの像に深く頭(こうべ)を垂れ

少し晴れやかな顔で

聖堂の扉を開き出て行った



銀河が街の灯ととけ合うころ

花嫁は小さなビルの屋上から

梟(フクロウ)になって愛しい人の元へ羽ばたいた
19/06/16 11:24更新 / 司門君

■作者メッセージ
 わたしが学生時代あこがれていた先輩。

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