ポエム
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乳首

イスにイスを重ねていって人間が座れそうにはないイスにする


すべり台を寝そべりながらずり落ちる君たちの無限の可能性


このシャツは薄くてちょっと透けるのだオレの乳首ようれしいだろう


うしろから目隠しされた思い出の真っ暗よりも指の感触


ちょうどよく敷かれた砂利だ砂利なりの秩序をもって日に照らされて


赤や白や黄色のチューリップがあって近づけばオレの影で真っ黒


どこ どこ と産婦人科の入り口で電話している声のかすれて


シロナガスクジラのようなかたちして夕暮れをゆくゆったりの雲


コンビニに入って出たら傾いている太陽だおい待ってくれ


思い詰めた顔の少女の目の先は夜の電車の平凡の床


鳴き声が省略形のこの犬を ゥ ゥ 真似したくなる ゥ ゥ


まっすぐな木とかたむいて生えた木がならんでオレにもの思わせる


レコードのなかでは雨が降っているこちらよりややしっとりとした


落ちてくる花びらを受けようとして出してみた手をまた引っ込める


蹴飛ばしたイスに近づき立て直しまた蹴りたくなる前に出てゆく


じゃあ逆になんで一緒になったかと訊いてみたいが深そうな森


柔道の授業で早く負けようとやわらかく踏む畳のみどり


オレに向け鳴らされているクラクションなのかこの世のオレの体に


はずかしい記憶の前で両腕を広げて誰も入れたくはない


青春と人が呼ぶ時期オレはただ君を見て見ぬふりするばかり

16/06/11 19:53更新 / 工藤吉生

■作者メッセージ
青春の短歌

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