ポエム
[TOP]
3 冷たい雨に、さすらい猫、立つ。

さすらい猫は、魔女の魔法で
可憐で冷たい、少女の姿で
死ねないからだを引きずって、
街から街へと、さすらう運命(さだめ)。

冷たい雨が、降っている。
切り立つ岩場に降りつける。

こわいくらいに黒い海、
さすらい猫は無論1人で、
波間に浮かぶ鳥みてた。

寄せては返す波の音、
激しく砕ける岸壁に
天が悔(くや)しむ涙あり
流れ着く夢、吹き溜まり。

さすらい猫の瞳には、
赤い怒りがまだ燃えている。
罪を犯して罰から逃げた
自分の昨日を許せない。

誰かこの海、抜き手を切って、
生死を賭して泳ぐ強者、
喉切り避けよと叫んだ叫びは、
それでもそいつの耳には届かず
眼で射抜きたいと、睨んだ眼からは
心の痛みの血涙、流れる。

冷たい雨が血を洗う。
冷たい雨が、降り続く。
冷たい雨は、さすらい猫に、
キスするように、降りしきる。

白く尖った冷たいキスを、
隠しもしないで、降らせ続ける。

さすらい猫の、夜明けには、
だれも立ち会えない運命(さだめ)。
さすらい猫は苦笑い、
しゃがれた声でむかしの歌を、
歌いかけたが、口、つぐむ。

さすらい猫の歌声は、
他の者には聞かせない。
さすらい猫の歌声を、
聞いても良いのは彼女だけ。

天へ昇った、彼女だけ。

冷たい雨が、降っている。
切り立つ岩場に降りつける。
こわいくらいに黒い海、
さすらい猫は無論1人で、
波間に浮かぶ鳥みてた。






19/02/01 21:57更新 / 花澤悠

TOP | 感想 | RSS

まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.35c