ポエム
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あなたはいまも僕のそばへ
さわやかな柑橘類のようなあなただった

砂浜でいつのまにか
僕のそばに並んできたあなた
墓地が好きなんです
長い祖先の歴史の果てに
わたしたちがいる

満天の夜空の下でひとり
さわやかな甘味の後味に浸っていた
その果てに、あきれるような偶然の果てに
このいま僕たちは出会った

翌日東京から来たと聞いたとき僕は驚いた
そういえばたしかに
流れるような標準語を話していたあなた

平泳ぎで肩をなでるように水を分けつづけるあなたを
飽くことなく眺めていた

きょう帰るんです
そう言うあなたの言葉は
すべてを溶かしてしまうような日射しのもとに消えていく

また彼女は海に戻る
ただただあなたが泳ぐのを眺めていた
そして、やはり浜辺にあがってきたあなたと少し話をした
時の流れから置き忘れられたような夢のような時間だった

その夜も満天の星を変わることなく見て
あなたの残り香に酔いつづけていた
生暖かい夜風に別れの予感はなかった

翌朝浜辺にあなたの姿がなくても
あなたの面影はやはり海を漂っていた
魔法にかかったようにただあなたを眺めつづけていた

今も僕はあなたを思い出すたび
スッと立ち上がったあなたが
僕のほうに悠然と歩いてくる気がする
そして僕のそばに座って
風を感じながらとりとめのない話をはじめるのです












19/05/10 13:15更新 / 坂上春成

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